新成田離婚 (2006/01/20

新成田離婚 熟年夫婦ご注意を
退職記念が引き金 長年の対話不足背景

岩手日報夕刊 2006年1月16日月曜日7面

「新婚夫婦がハネムーン直後に別れる「成田離婚」に対し、定年を迎えた熟年夫婦が、退職記念に出掛けた海外旅行などを引き金に離婚や家庭内離婚してしまうのを「新成田離婚」と呼ぶそうだ。背景にあるのは長年の対話不足のよう。お父さん方は特にご注意をー。

「新成田離婚は明らかに増えつつある。定年後に夫婦そろっていきなり海外旅行は危険」とまで話すのは、作家の西田小夜子さん。退職後の夫を原因とする「夫在宅ストレス症候群」に悩む妻達の姿を自著「定年漂流」で描き、定年の迎え方などをアドバイスする「定年塾」を東京都内で開いている。
 「受講者の話では、喜々として海外旅行を提案する夫に対して、たいていの妻は及び腰」と西田さん。数日間、見知らぬ場所で濃密な時間を送ることで、夫婦の対立が深まる場合が多いという。
 「夫ばかりが悪いわけではないが、妻は成田空港に到着する頃には「もう一緒に暮らしたくない」と腹をくくる。夫は仕事優先で妻の心を知ろうとしてこなかったツケを、いっぺんに払わせられるのです」と警鐘を鳴らす。海外旅行の前に日帰りバス旅行から始めては、などと助言している。
 厚生労働省の2004年版人口動態統計によると、結婚20年以上の約4万2千組が離婚し1985年の約2倍に達した。中でも結婚30年以上の夫婦の離婚は約4倍に激増している。
 今年夏に創刊予定の団塊の世代向け雑誌「GOぎゃん」は、新成田離婚を防ぐライフスタイル特集などを準備中だ。編集長の谷口和巳さんは「多くの人が定年後の生活を不安に思いながら、直視していない。海外移住で悠々自適の年金生活などという”夢物語”が、根っこの問題を覆い隠している」と指摘する。
 「定年後の夫婦に一番必要なのはコミュニケーション。対話を大切にし、楽しもうとする気持ちがないままの海外旅行や海外移住は、新成田離婚の可能性を高めるだけ」
 西田さんによると、飛行機で行く海外旅行より危ないのは、数日間同じ船内で生活する船旅とか。普段習っているダンスなどで気晴らしできる妻を、船室に閉じこもって夫がねたみ、けんかになるケースも少なくないという。
 これに対して「むしろ船旅を定年後の生活を見直すきっかけにしては」と語るのは、旅行情報を提供するカフェ「トラベルカフェ」を各地で手掛ける喜多川リュウさん。
 「船旅の一番の楽しみは、乗船客やスタッフとのおしゃべり、友達になること。最近は日本人の参加者が急増している。定年後の船出に不可欠な夫婦のコミュニケーションは、船の中でじっくりはぐくめばいいと思います」と語る」





FP田中広江談
40歳まで青年会議所活動で居ない事の多かった私が、家に居る機会が多くなって早くも丸6年。考えると定年退職後の生活の一部を垣間見た気がしました。ある先輩から「女性の特性として、良くも悪くも巣作りが得意だ。自分にとってベストな環境を知らず知らずのうちに作り上げていく」と教わってはいましたが、中々大した者です。すっかりその巣の中には私の居場所が余りありませんでした。今もその巣の中で、少しは私にとっても良い環境を作ろうと奮闘中です。子供天国になってしまい過ぎている事が、又一つの大きな問題です。何も出来ない子供、何もしなくても生きていける環境と恵まれすぎた温室は、ひ弱な、生活力の欠乏した人間を育てかねません。今は足るを教え、我慢を体験させることが難しい環境にあるため、苦労を重ねた、風雨に耐えた逞しい松を育てることが厳しい世の中な様な気がします。少しは父親の威厳を守りつつ、社会の役に立てる人間に育てる為に尽力していきたいものです。
 勿論家内との会話や旅行の機会も作って、新成田離婚などと言う、淋し過ぎる老後にならないよう気を使いたいものです。でも確かに最近、口うるさい亭主になっているかもしれません。根底にある愛を、しっかり相手に伝えられる関係を築いていきたいものです。